デジタルなジャンケン

 ご存知の方も多いでしょうが、月曜日の深夜に、「たけしのコマネチ大学数学科」という、ちょっとふざけたタイトルのテレビ番組が放送されています。

 番組名はふざけていますが、内容はかなり高等な数学を真面目に考える内容になっています。実は数学が大好きというビートたけしさんが番組の中心となっていて、難しい問題を取り扱うのにバラエティ的要素も併せ持つ、他ではあまり類を見ない番組なので、数学が好きな私は毎週欠かさず見ているのです。

 先日の放送で、ニューヨークのジャンケンについて、解説者の竹内先生が子ども時代に住んでいたニューヨークでの思い出を話してくれていました。

 ニューヨークでは、手が二種類しかないジャンケンがあるんだそうです。日本でおなじみのジャンケンといえばいわずと知れたグーチョキパーですが、ニューヨークのそのジャンケンは、人差し指一本だけの手と、人差し指と中指(奇しくも普通のジャンケンのチョキと同じですが、ハサミという意味ではないことは後述の理由から明らかになります)の二本の指を出す手の二種類なのです。

 ジャンケンをする二人は、まず偶数か奇数のどちらかを一方ずつ選びます。その後、一本指か二本指のどちらかを同時に出します。

 その指の数の合計は、2か3か4となるわけですが、2か4なら事前に偶数を宣言した人の勝ち、3なら奇数を宣言した人の勝ちとなるのです。3には2通りの組み合わせがありますから、その勝敗の確立は常に50:50であり、公平なジャンケンとなるのです。相子はありません。実に合理的なジャンケンです。

 ITの世界にはパリティという用語があります。偶奇性という意味です。整数は偶数か奇数のいずれかであるという性質を意味しています。この性質を利用したパリティチェックというネットワーク通信時のデータチェックの方法があるのです。このパリティをジャンケンに取り入れたのが、このニューヨークの子どもたちがやっていたというジャンケンなのです。

 数学が好きで、しかもずっとIT業界の仕事をしていて、2進数には慣れているはずの私ですが、こんなジャンケンがあるなどとは考えもしませんでした。

 グーチョキパーより合理的な、一回だけで必ず勝敗が決まるジャンケン、どこかで試してみてはいかがでしょう。

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